1. 7)を含む幅広い変異株にも有効であると考えられています。 COVID-19はファイザーやモデルナ製のワクチンが配布されていますが、ワクチンが普及すると、ウイルスがワクチンの効果を逃れようと進化する可能性があると懸念されています。このためワクチンだけでなく、COVID-19の診断後に服用する治療薬の開発が望まれており、CRISPR/Cas13bを使ったRNAへのアプローチが1つの方法になり得るとのこと。 ただし、CRISPR/Cas13bを使った新たなアプローチはまだ研究の初期段階です。研究者は今後、動物実験や臨床試験を行うことを計画していますが、治療薬が完成して市販されるまでには何年もかかるとみられています。 この記事のタイトルとURLをコピーする << 次の記事 Googleが「ロシア政府系ハッカーがiOSのゼロデイ脆弱性を突いてヨーロッパの政府関係者を攻撃していた」と報告 前の記事 >> たっぷりあふれる辛口ソースがヒリヒリと爽快な刺激をもたらすモスの新バーガー「クール スパイストマト」を食べてみた 2021年07月15日 13時00分00秒 in サイエンス, Posted by logq_fa You can read the machine translated English article here.
Cas9とガイドRNAによるDNA二本鎖の切断。赤で示した部分が、ガイドRNA・標的DNAにおいて相補的。 切断されたDNAは、細胞がもともと持っているDNA修復機構によってつなぎ合わされます(図2)。この際に、挿入したいDNAを供給しておけば、そのDNAを使って修復が起こり、結果として新しいDNA配列が挿入されたDNAを作製することができます。しかしながら、現状では、挿入効率があまり高くなかったり、細胞の種類や周期によって修復方法が限定されるなどの問題があり、より良いDNA挿入手法の開発が求められています。 図2. 切断されたDNAの修復。(NHEJを利用した挿入法もある) 2. トランスポゾンとCRISPR さて、今回 Science と Nature に報告された技術は、前項で説明したCRISPR-Cas9システムとはかなり異なっています。 大きな違いは、 DNA を分解するための酵素であるCas9 を用いないこと です。Cas9無しでどうやってDNAを挿入するのかというと、ここで鍵となるのが トランスポゾン です。 トランスポゾンというのは、 ゲノム上を動くことができる遺伝子 のことで、転移DNAとも呼ばれています。トランスポゾン自体はDNAでできていて、そのDNAの両端に、転移を起こすタンパク(転移酵素)から認識されるための配列を持っています。転移酵素の働きにより、トランスポゾンはゲノムDNAから切り出され、別の位置へと移動していきます(図3)。 図3. トランスポゾンの転移。黄色部分は、転移酵素の認識部位を示す。 トランスポゾンの転移先は、(i) ランダムに移動、もしくは (ii) 転移酵素によって定められた特定の位置、のいずれかです。転移先は、標的DNAの塩基配列だけでなく、DNAの高次構造やDNAに結合しているタンパクとの相互作用によって決まります。それなので、 トランスポゾンの転移先を狙い通りにコントロールすることは困難 です。 ところが、2017年、コーネル大学のPeters教授らにより、トランスポゾンについて興味深い仮説が発表されました。 [1] 彼らは、原核生物のゲノム解析の結果から、(ある種の) トランスポゾンは、 CRISPRを使って転移先を決めている と予想をしました。この仮説が正しければ、「トランスポゾンは、CRISPR用のRNA分子(crRNA)を用いて行き先を決めている」ということになり、 crRNAの配列を変えるだけで、トランスポゾンの転移先をコントロールすることが可能になるはず です(図4)。(※crRNA≒ガイドRNA) 図4.
お待たせしました!ノーベル化学チームからも、今年の受賞に関するお話です! 2020 年ノーベル化学賞は、エマニュエル・シャルパンティエ博士とジェニファー・ダウドナ博士に贈られました。 テーマは「 "for the development of a method for genome editing. " (ゲノム編集方法の開発)」 ゲノム編集ってきいたことあるけど、どこがすごいのだろう‥‥という方も多いはず。 かくいう私もそのひとりでした。今日は一緒に 2020 年ノーベル化学賞をひもといていきましょう!
課題となっているのは、先ほど説明した、オフターゲットです。解決に向けて、できるだけオフターゲットのないゲノム編集システムへと改良が進められています。また、ゲノム編集を行いたい遺伝子のうち、どの20文字を選べばオフターゲットが極力起こりにくいのかを、人工知能を使って選ぶ試みも始まっています。それから、ゲノムを切らないゲノム編集というのも出てきています。これはDNA配列そのものではなく、DNAに起こる化学変化を編集するもので、エピゲノム編集と呼ばれているのですが、病気によってはそれで治せるものもあります。このように、オフターゲットは、克服に向けていろいろ対策が練られています。 こういった課題はいつ頃克服され、いつ頃実際の医療にゲノム編集が応用されるようになる見通しでしょうか?
(脱線をお許しください) もともとファージからするとCRISPRシステムは敵(原核生物)のミサイル兵器みたいなもんです。 チク子 ファージ絶対ブッコロCRISPRミサイルね! ファージゲノムを正確に把握しズタズタにしていく恐ろしいミサイルです。 Cas3なんかシュレッダーとか呼ばれるくらいボロボロにしていきます。 そんな敵の破壊兵器をファージ は鹵獲(ろかく)し自分の兵器として取り込んだわけですね。 どういった経緯でファージがCRISPRを取り込んだかは不明ですが、 生物界における利用できるものは全て利用して生き残るという貪欲さをここから感じてなりません!! 敵の武器を奪って自分の武器にするって、どこぞの機動戦士のストーリーみたいですよね! !興奮します。 チクチク 興奮ポイントは以上! !本筋に戻ります( ´艸`) さて本筋に戻ります。 CasΦはが見つかったファージはただのファージではなく巨大ファージと呼ばれるファージから発見されました。 名前の通り非常に大きいファージです。 最も小さいものとたど20倍近く違います。 かなりの大きさの差がありまして発見当初はウイルスと認知してもらえなかったそうです。 余談ですが、名前に冠されているΦ(ファイ)は生物学でファージを表すギリシア文字です。 この巨大ファージは原核生物ではなくアメーバに寄生することで自己増殖を行うウイルスです。 巨大ファージがどのようにCRISPRシステムを活用しているかというと、 同様にアメーバに寄生するファージ(競合するファージ)のゲノムを破壊し、自分だけが寄生し増殖するために使われていると原著では仮説が立てられています。 MIMIVIREとの関係は? 巨大ファージが競合するファージのゲノム破壊を行う… 実はこの文字を見たときにすごい既視感がありました。 チクチク なんかどっかで似たような話きいたことあるぞ?と… それが2016年に発表されたnatureの論文です。 文献: MIMIVIRE is a defence system in mimivirus that confers resistance to virophage この論文ではヴァイロファージという巨大ファージを利用して増えるファージとそれに対する防御機構MIMIVIRE(mimivirus virophage resistant element:ミミウイルスウイルス ファージ 耐性要素)が紹介されています。 ヴァイロファージはミミウイルスという巨大ファージと一緒にアメーバに侵入し、巨大ファージが作り出した自己複製システムの中に入り込み、それを利用して増殖します。 ヴァイロファージに利用された巨大ファージは正常な増殖が妨げられてしまいます。 チク子 巨大ファージに寄生するファージといえます。 それを防ぐ免疫システムとしてMIMIVIREというファージ耐性システムが搭載されていることが判明した!
世界変えすぎだよ!と目の前がぐるぐるしそうですが、まさに発展中の研究を今後も見守っていきたいと思います。 エマニュエル・シャルパンティエ博士、ジェニファー・ダウドナ博士、おめでとうございました! 執筆: 竹腰 麻由(日本科学未来館 科学コミュニケーター) 大学でフラスコの中の世界を追いかけながら、研究ってなんだろうと疑問を抱いたことをきっかけに未来館へ。毎日、たくさんの方とお話するなかで、人それぞれの考え方にはっとさせられます。ひとりひとりの思いを、少し先の未来をほんのちょっとよくすることにつなげられないか、模索しています。つい反応してしまう形は、五角形と六角形。 ※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
つい先日、2020年のノーベル化学賞が発表されました。 受賞対象は、ゲノム編集方法: クリスパーキャス9「CRISPR-Cas9」 「CRISPR-Cas9」とは:DNAの二本鎖を切断して細胞のゲノムを変化させる(ゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができる)新しい遺伝子改変技術 ▶ゲノム編集 この技術が登場したことで、" ゲノム編集 "という言葉が使われるようになりました。それまでは、遺伝子を操作することに、" 遺伝子改変 "というような言葉が使われていました。 では何故、クリスパーキャス9 の登場によって "ゲノム編集" と用語が変わったのか? これまでの遺伝子操作方法では、遺伝子操作が「どのような方法で」行われたのか、を見ることができました。つまり、ゲノム内に痕跡(足跡)が残っている状態だったのです。その為、痕跡を調べることで"どの様な操作が行われた"のかを知ることが出来ました。 ところが、クリスパーキャス9の技術によって研究者は、高等生物のゲノムを、 研究者の計画通りに! 痕跡を残さず! 操作できることになったのです。さらに、課題であった「操作に必要な膨大な時間」も大幅に減少させたのでした。 ▶遺伝子操作 クリスパーキャス9の技術は、これまで膨大な時間を掛けて進められた各種の遺伝子操作を、容易に行えるようにしました。このことは、「難病の治療」や「異常気象に強い農作物の作成」を短期間で実施できるという、大きな展開をもたらしました。 しかし、「遺伝子操作を容易に行える」という事実は、生命倫理に反するような遺伝子操作もまた行えるようになった、ということでもあるのです。 このような「諸刃の技術」であることを認識して頂きたいと思います。 T J 博士 / 2020. 10. 16 ▶vol. 5 【COVID-19】日本でコロナ感染少ない・・・「ファクターX」ある?? ▶vol. 4 【COVID-19】新たなる治療法:血清療法とは? ▶vol. 3 【COVID-19】「変異型ウィルス」な ぜ流行する? ▶vol. 2 「PCR検査」高感度なのに、精度60%~70%は何故? ▶vol. 1 コロナウィルスワクチン開発に時間が掛かる訳 ▶ 注目のストーリー ▶ CHUBU SCIENCE site 中部科学機器株式会社では一緒に働く仲間を募集しています ノーベル化学賞:クリスパーキャス9「CRISPR-Cas9」って何が凄いの?
CRISPR/Cas9はヒトおよびマウスのゲノムに対しても機能し、数塩基の欠損・挿入が可能 これまで 大腸菌 のプラスミドに対しては働くことが示されてきたCRISPR/Cas9だったが、哺乳類のゲノムなどに用いることが可能かどうかは定かではなかった。 そこで、ヒト293FT細胞にCas9, tracrRNA, pre-crRNA, RNaseをコトランスフェクションした。 結 果、きちんと狙った箇所にDSBが入っており、それを生物が error -prone な修復方法(non-homologous end joining, NHEJ)で直そうとした結果インデル(挿入insertと欠失delete略してindel)が入っていることが確認された(gPCRフラグメントを SURVEYOR assay(インデルの検出が可能)、その後シーケンスを読むことによって確認)。結果として、フレームシフトが起こってタンパク質が機能を欠損すること が想定される。 また、上述の実験以外の遺伝子、またマウスの細胞でもCRISPR/Cas9は機能した。 効率はTALENと同程度で、特異性もPAMの下流11塩基対めまでは、1塩基の変異が入るだけで機能しなくなるほど高かった。 2. 欠損、挿入だけでなく、置換も可能 DSBを入れると主に error -proneなNHEJで修復が起こることが知られている。しかし、ニックを入れるだけならフィデリティの高いhomology-directed repairだけが用いられる。 Cas9が本来DSBを作るところをニックを入れるだけに抑えた(活性残基のうちのひとつを不活性化)。結果、インデルを起こさないCas9を作成することができた。 さらに、テンプレートとなり得るDNA断片を入れると、その断片を用いた相同組み換えを起こすことが可能であった(DNA断片に 制限酵素 サイトを入れて引き続き 制限酵素 処理を行い、その後シーケンスを読むことによって確認)。 3. CRISPR/Cas9は複数の編集を一度に行うことが可能 これまで複数の遺伝子のKOマウスを作成するには複数回KOマウスを作成する必要があった。 しかし、CRISPR/cas9では、crRNAにDRで挟んだターゲット領域を追加するだけで、複数のゲノム編集を一度で行えた。 離れた二つの箇所に欠損・挿入を含めるだけでなく(Fig.
(a) Zhang教授らの論文、(b) Sternberg教授らの論文における、DNA挿入のPCR測定(アガロースゲル電気泳動)。(b)では、挿入が起こった場合のみバンドが見られる仕組み。 両論文で示された手法は、ゲノム編集において「遺伝子を標的位置に挿入する」という目標を大きく前進させる技術です。今後の方向性は、真核生物、特に哺乳類細胞への応用だと考えられます。従来のCRISPR-Cas9技術に比べると、トランスポゾンやCRISPRに関わるタンパクを複数導入しなければならないという難しさはありますが、今後の発展が期待されます。 Peters, J. ; Shmakov, S. PNAS 2017, 114, E7358 (DOI: 10. 1073/pnas. 1709035114) Hille, F. ; Richter, H. ; Wong, S. P. ; Bratovič, M. ; Ressel, S. ; Charpentier, E. Cell 2018, 172, 1239 (DOI: 10. 1016/)